第74回 桜美林高等学校 卒業証書授与式

2023年3月14日

お知らせ

高校

2022年度 第74回 桜美林高等学校 卒業証書授与式

2023年3月14日(火)「第74回桜美林高等学校 卒業証書授与式」が挙行され、420名の卒業生一人ひとりに卒業証書が授与されました。

そればかりでなく、苦難をも誇りとします。わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。
希望はわたしたちを欺くことがありません。わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです。
(ローマの信徒への手紙5:3~5)

卒業生、またご家族のみなさまに心より卒業のお祝いを申し上げます。学び舎を旅立つ生徒たち一人ひとりのこれからの歩みの上に、
神さまの祝福と導きが豊かにありますよう祈念いたします。

卒業生代表の言葉(全文)

降り注ぐ暖かい日の光に、心が和やかになる季節となりました。マスクをはずすにはまだまだ厳しい状況が続く中、私たちのためにこのような素晴らしい式を挙行していただき、心より感謝申し上げます。

私たち桜美林高等学校第74期420名は、次の舞台へと続く門出を前に様々な想いを抱えています。3年前、私たちの高校生活はコロナ禍とともに始まりました。各クラスとも教室内での映像による入学式を終え、その後、登校することなく、オンラインでの授業や不安な毎日が続き、登校が再開したと思えば分散登校、クラス全員が揃っての学校生活が始まったのは七月頃でした。ただ、すぐに終わると思っていたこの生活は今日まで終わることはなく、中学生のときに思い描いていた高校生活とは大きく違い、制限のあるものばかりでした。みんなで顔を見合ってお昼ご飯を食べることや、学年の垣根を超えた体育祭、絆が深まる修学旅行など、当たり前にあったものを高校生活で経験することはなく、行事中止の言葉を聞く度、「またか」と落胆したことを覚えています。部活動なども、練習日程や郊外への遠征に制限があったり、合宿なども禁止で、高校生ならではのことができませんでした。しかし、だからこそ当たり前がいかに大切なことなのかということに気づくことができました。

学校に通えていること、友だちと一緒に笑いながら話せること、日常生活を送れていること、今まで当たり前にできていたことに特別な想いを感じていくようになり、今ではそんな日常が一番の思い出になっています。それもこれも、桜美林高校で出会えた沢山の尊敬できる人たちのおかげであり、自分を奮い立たせるきっかけを与えてくれたのも、ここで出会った友だちがいたからです。お互いに励ましあい切磋琢磨しあえたからこそ、ここまで来られたのだし、また、この3年間楽しい生活が送れたのも、周りにみんながいたからです。制限があり、思うようにいかないことや我慢しなければいけないことも沢山ありましたが、何よりも友だちと多くの時間を共有でき、一緒に考えたり悩んだりしたことが嬉しかったと、今実感しています。

この3年間は、自分のことを見つめる時間が多くあり、将来のことを考え悩み、大きな決断をしました。その中でも助言をしてくださり、心の支えになってくださった先生方からは、一人ひとりと向き合う時間と、色々な視点をいただきました。私たちの可能性を信じ、ここまで導いてくださった先生方には感謝しかありません。新たな道を切り開き、前に進む私たちを、今後とも見守っていただけたら幸いです。

現在、世界では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をはじめとして、各地で戦争が起きています。しかし、私たちは戦争が起きているという事実を知るのみで、実際に目で見て感じているのではなく、ただテレビの画面に映る映像を見ているだけであって、まるで自分たちとは別世界と感じ、聞き流してしまっているところがあります。そこには、当たり前の日常を一瞬にして壊されてしまった方が多くいます。高校生活で当たり前の大切さに気づくことができた私たちは、このことを重く受け止めなければなりません。学而事人。広く世界の人に奉仕し、社会に役立てるために学問するという精神を学んだ私たちは世界に目を向けて行動していく必要があります。たとえそれが小さなものだとしても、人のために行動するということを大切にするべきだと思います。私たちから当たり前を奪ったコロナは、現在もなお猛威を奮っています。制限が緩和されつつありますが、まだまだ油断のならない状態が続くと思われます。コロナだけでなく、今後新しい環境においては、様々な困難が待ち受けていることでしょう。ただ、私たちにはこの状況下であっても挫けず、前を向き歩んできた経験があります。私たちの代だけが経験し、私たちにしかできない想い。これらを基にして、どんなことがあっても、自分の信念を軸にし、乗り越えていきます。さらに成長していくために、高校生活で築き上げた土台である隣人愛、学而事人の精神を心に留め、一歩ずつ、それぞれのペースで歩んでいきたいと思います。各地で起こっている問題が、私たちと無関係ではないことを自覚し、それらについて考え、わずかであろうと行動することを大切にしていきたいです。

このような状況の中、高校生活3年間を大過なく送れるよう尽力してくださった先生、警備員さん、食堂や清掃の方々、スクールバスの運転手さん、両親、そして多くの関係者の皆さまに感謝申し上げます。周りの支えがなければ、今日、この日を迎えられませんでした。多くの人に出会い、充実した日々を送ることができたことを幸せに思います。最後に学校生活を支えてくださった皆さまに改めて感謝申し上げるとともに、桜美林高等学校の末永いご発展をお祈りして、卒業生代表の言葉とさせていただきます。